生活集

22歳

読んだ本・感想メモ(2021年2月)(20210228)

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唯川恵『22歳、季節がひとつ過ぎてゆく』1994年

タイトルで手に取った。大学4年生の1年間。環境の変化や偶然が関係の変化に繋がって、すっかり分かった気でいた恋人や友人たちのこと、知らないこと分からないことばっかりだ……と気づいてゆく。思った以上に自分は未熟だし、強い大人、に見えていた人たちも非合理的な部分をたくさんもっているし。私はどうしたら良いんだろう、というか、どうしたいんだろう。うっすら気付いていたが目をそらしていたことやむずかしそ~となんとなく後回しにしてきたいろいろに、そろそろ向き合わなきゃいけないんじゃない。22歳、そういう季節だったかもね。みたいな。友情と恋愛が主題だけど変にドロドロしてない。中高生に比べると愚かさ無謀さは不足気味、でもまだギリ“青春”って呼べるかも。そんな話だった。

金川欣二『脳がほぐれる言語学』2007年

ノット学問としての言語学。「言語学をやると(その視座を手に入れると)なにがうれしいのか」を延々と語っている。マジでオジサンの雑談。講義の本筋に関係ない雑談を嬉々として話し続ける教授いるじゃん、アレ。(でもアレ、私は割と好き。)へえ~となる雑学がうまいこと組み合わされてるから、暇つぶしにぴったり。

小川洋子薬指の標本』1999年

奇妙で幻想的でずっとちょっと不穏。肉感?肉体の柔らかさやふくらみを感じるのに、ねっとりしたなまなましさはない。むしろしゅわしゅわの炭酸、の、甘くないやつ。にんげんとにんげんの間に働く不思議な引力を描くのが本当にうまくて、惹きつけられた。でもこれは「恋愛」小説になるのかなあ。読んでるこっちが不安になってしまうような危うさをはらむ人だらけだけども、みんな幸せそうだから、ま、いっか。ね。

山本文緒『みんないってしまう』1999年

4年住んだ土地を離れるため全て引き払って引っ越しをするその前日、からっぽの部屋の隅にまるまって1人で読んだ喪失(恋愛関係だけじゃなくね)の話たち。一話一話はかなり短い。リアルさに少し寓話をたらしました~って感じ?喜劇か悲劇かは、読む人によって違う印象を受けるかも。私には喜劇に見えた。喪失を通り過ぎてもなんだかんだ人生は続いていく、でも私は、自分自身だけはずっと私と一緒にいるねえ、つって。で、喪失の後の私は変わってないようでやっぱり前の自分とはどこか違うみたい、誰も(自分自身でさえも)気づいていないかもしれないけど。

ナガノ『ちいかわ─なんか小さくてかわいいやつ①』2021年

かわ、か、かわいいね……。ヨダレ出る……。ちいかわちゃんたちをめちゃくちゃ““所有””したい…………。

村田沙耶香コンビニ人間』2016年

人間の“普通”がわからない人間が、周囲の人間のガワをまねて人間っぽく振舞って生きてる、そうすることでしか社会で生きられないから。都会ですら所詮ムラの延長、異質なものは排除され正常を保たれる……。はじめは「人間失格」みを感じるな~と思いながら読み進めていたけど、外身を繕いきれる能力の有無や、社会との距離感、なにより内面の動き方は全然違った。作者はどういうメッセージを伝えたいんだろうとか考えなくても、この人(主人公)が「在る」んだなあととりあえずそのまま受け止めるだけで良い気がした。私は。安易に「共感できる」とは絶対に言いたくない感じ。以下引用。「……特に悩んだことはなかったが、皆、私が苦しんでいるということを前提に話をどんどん進めている。たとえ本当にそうだとしても、皆が言うようなわかりやすい苦悩の形とは限らないのに、誰もそこまで考えようとはしない。…(中略)…迷惑だなあ、何でそんなに安心したいんだろうと思いながら、……

吾峠呼世晴鬼滅の刃』(第1~23巻)2016年~2020年

全巻一気読み。少年漫画を読むのも随分と久しぶりだったから、バトルシーン多くてうれしかった。やっぱね、総力戦が好きですわ。熱いね!でも熱血パワーゴリ押しじゃなく、知略が重要だったところも良かった。最後唐突にカップリング大会始まったのはちょいワロてもうたが、ずっと「家族」の絆の強さは主軸に据えられてたし番うことが幸せに繋がるという価値観の強い時代だっただろうし、まあそっかーって感じだね。幸せならオッケーです。

山本文緒『恋愛中毒』1998年

ザ・恋愛小説!私はもう完全に違う世界のお話みたいだと思ったしなんならサスペンスドラマを見てる野次馬感覚だったけど、当時(今も?)強い共感を持って支持されていたことをあとがきで知って驚いた。でもずーーーっと恋愛について書いてる長め(あとがき抜きで410頁)のお話なのに一切共感できなかった私がずっと飽きずに読めたから、やっぱり話の運びがだいぶうまいんだと思う。

川上弘美『蛇を踏む』1999年

短編集なんだけど、どれも最初の一文が詩みたいに不思議できれいで、標本にして飾りたいくらい。「いくら注いでもコップが一杯にならないと思ったら、コーヒーだったはずの液体が、いつの間にか夜に変わっているのだった。」なんてね。温度の低い文章。こういう淡々とした口調で、“無い”世界をまるで“有る”みたく書いてるの、私大好き。普通ならエッって立ち止まるところを立ち止まらずに、ただそういう世界を歩いてるの。ずっと見てたいね。